会員の希望で八甲田山に決定した。1日目余裕がありそこまで行くならと岩木山もコースの中に入れての案となった。 弘前から眺めた岩木山は津軽富士と呼ばれている。本来なら岩木神社から百沢コースと行きたいところだが、企画日程上岩木スカイラインを利用し八合目から山頂までとした。往復2時間、危険個所もあるが初級コース。独立峰だけに展望は抜群。 八甲田山、宿泊先はちょっと遠いが高級なランプの宿、八甲田山のいわれは深田久弥の本百名山に譲る。毛無岱での草紅葉が抜群であろう。晴天に期待しよう。 |
コースルート
コースタイム
岩木山ロープウェイの脇を登り、9合目に到着。ここから頂上まで、不安定な岩場が続く
岩木山神社奥宮の社殿の前で
標高差400mは余裕です
頂上は霧の中
夕食風景。ランプの灯りは意外に暗い
青荷温泉の玄関先で。今回、この温泉旅館を目当てに参加した人も。ランプの宿の評価はいろいろ
八甲田山への出発前、「雪中行軍」の話題も。酸ヶ湯の広い駐車場は満杯
鳥居をくぐって出発
火山性ガスの臭いがする沢を横切る
高田大岳への分岐点で、小休止
急登の始まり
小岳(手前)と高田大岳
階段状の道が、頂上まで続く
晴天の頂上
避難小屋まで下ります
上毛無岱。「“毛無”の地名、抵抗あるな」と、ある会員。当面、改名の予定は無さそう
上毛無岱と下毛無岱の境界にある木段から見た下毛無岱
仙台市のツアー客の後になり、ゆったりペースで下山
特記事項
今回は、一泊二日で青森の百名山2座を登る贅沢な山旅。紅葉シーズン真っ只中であり、また、宿泊地がランプの宿として有名な青荷温泉とあって、人気の企画、参加者が37名となった。マイクロバス2台での長距離移動となる。天気良し、期待を胸に一路北上。途中、岩手山の雄大な姿に感動、この先への期待が高まる。 弘前に入ると、秀麗な津軽富士・岩木山が見え始める。稲刈りを終えた田んぼには、稲杭に干された稲、果樹園地帯では真っ赤に色づいたりんごがたわわに実っているのが目につく。 岩木山神社を過ぎ、津軽岩木スカイラインへ。69のつづら折りのカーブを走り抜け、岩木山八合目駐車場着。途中の車窓からは日本海を望むことができた。今回は日程の関係で、この標高約1250mの八合目から山頂を目指す。標高差約400mの登り、もっと楽をするなら九合目までのリフトもある。 山頂方面も晴れ、このまま晴天でありますようにと祈りつつ、ブナ林の中の登山道へ。見晴らしがきかず、少々蒸し暑い。登山道の脇は笹薮に覆われている。紅葉は始まったばかりの印象。30分程で九合目、ここからは高木はなくなり視界が開け、急峻な岩場となる。「アルプスみたいだ」との声も上がった。この先は他の登山者も多く、岩場の急坂を譲り合いながら慎重に登る。少しなだらかなところに鳳鳴ヒュッテがあり、ここを過ぎると岩場の急登、足場が悪く登りにくそうに見えていたが、さほどでもない。大岩がごろごろしたところ、そこが山頂だった。安全の鐘、岩木山神社奥宮、避難小屋がある。北海道まで見えるという眺望を期待していたが、途中から雲が出てきて、山頂からの展望はきかず、残念!しばし休憩ののち、岩場の急坂を細心の注意を払って下る。途中から雲が切れて、登るときには見えなかった鳥の海噴火口が見えた。岩木山にも鳥海山・鳥の海があるんだ!樹林帯の下山はやや滑りやすく、気をつけて下る。八合目駐車場に着き、靴の泥を洗い流すなどしてから車中の人となる。 弘前市内で給油ののち、宿泊地の黒石市ランプの宿青荷温泉へ。駐車場から宿までは急な下り坂。すでに夕闇が迫っていて、ランプの街灯がともっている。宿は本館・離れといろいろあり、離れの部屋までは渓流にかかった吊り橋を渡るなど、雰囲気満点。宿ではいろいろな温泉を堪能し、ランプの明かりの下での食事を楽しみ、それぞれ情趣たっぷりの夜を満喫した。 |
二日目、宿での朝食ののち、八甲田山登山口となる酸ヶ湯温泉へ。大駐車場はすでに多くの車でほぼ満杯状態。出発を前に会長よりの話。今回の企画はこの八甲田山登山がメイン、八甲田大岳に登る。標高は岩木山より低いが、標高差680mの登りとなる。八甲田山は雪中行軍での遭難が有名。明治の陸軍の雪中行軍での遭難・210人のうち、生き残ったのはわずか11名であった。生存者のうちの一人は山形出身、彼ひとり外国製の長靴を履いていた。他は藁沓。遭難のあった日は、大寒波の日で、旭川で-41.0度の日本の最低気温を記録した日であった。青森部隊は多くの死者を出したが、弘前部隊は全員助かっている・・・。詳しく知りたい人は、関係書籍もあり、青森に関連の資料館があるので、自分で調べてみては?などの話があった。O氏は社会人になってから職場で新田次郎の「八甲田山死の彷徨」の感想文を書くという課題があったとか。「遭難の原因は指揮命令系統の混乱だったかな?・・・」その読書感想文で賞をもらった由。(スゴーイ!) 駐車場の最上部にある鳥居をくぐって登り始める。程なく木々が立ち枯れて広場のようになっているところがある。火山性ガスによる立ち枯れとのこと、現在も硫黄臭がする。急いで通過するようにとのこと。ブナ林・アオモリトドマツなどの樹林帯を登っていくと、荒涼とした地獄湯ノ沢に出る。硫黄臭がしてくる。展望が開け、はるか後方には、前日に登った岩木山の堂々とした姿がくっきりと見える。ゆっくり景色を堪能したいところだが、硫黄臭が気になり、先を急ぐ。登り続けると開けた場所・仙人岱湿原に出る。アオノツガザクラ・チングルマなどの高山植物がみられるところとのことだが、今は草紅葉がはじまっており花は見られない。近くに仙人岱避難小屋がある。湿原の中央あたりに八甲田清水と標識があり、井戸のように囲ってある。かつてはとてもおいしい水がコンコンと湧き出していたとのことだが、水たまりになっているだけで、湧き出している感じではなかった。飲めそうにない。 小岳・高田大岳の分岐で休憩、この後は森林限界に達し、急登になる。登山道の脇は火山礫の崩落を防ぐためか、金属のネットがかけられているところが多い。途中、平たんになったところに爆裂火口に水が溜まってできた鏡沼がある。モリアオガエル・クロサンショウウオなどが生息しているとのこと。ここから急坂をひと登りで山頂。天気快晴。360度の大パノラマ。海が見える!「(^^♪ごらん♩~あれが竜飛岬北のはずれと🎶~」思わず歌が飛び出す。岩木山はもちろん、岩手山も見える!絶景かな!・・・。鳥海山は残念、見えない。 頂上は大勢の登山者で賑わっている。昼食も、景色も堪能し、下山開始。下山ルートは大渋滞。大岳ヒュッテ(避難小屋)でトイレ休憩後、下山を急ぐ。樹林帯を抜け、草紅葉の始まった上毛無岱の木道を行く。上毛無岱から下毛無岱へは長くて急な木の階段を慎重に下る。途中樹林の間から見える下毛無岱は、草紅葉がまだ走りの状態ながら、圧巻、本日のハイライト!点在する池塘がアクセント。ゆっくり景色を楽しみたいところだが、先を急ぐ必要があり、渋滞もありで、のんびりもしていられない。再び樹林帯に入り、急な湯坂を下るとやがて酸ケ湯温泉の大駐車場にでた。全員無事下山。大満足の山行であった。この後、有名な酸ヶ湯の千人風呂といきたいところだったが、時間の関係で断念、急ぎ、帰路についた。 今回は37名と参加者が多く、先頭からしんがりまでが長い隊列となった。登山者で賑わうこの時期、追い越しやすれ違いにやや支障をきたす場面があった。今後、隊列の組み方に工夫が必要ではないかと思った。また、硫黄臭がして火山性ガスに注意といった場所があり、安全登山への配慮が必要と感じた。 それにしても、長距離の移動、そして2座登山というハードなスケジュールではあったが、好天に恵まれ、さしたる問題もなく、全員無事目的を達成することができてよかった。 |
*** 写真撮影 : 岩田 賢一 *** |