2011年2月6日・学習会 井上邦彦氏の講演
『安全で快適な感動ある山行』
今年の学習会は、井上邦彦氏を講師に迎えて実施しました。
井上氏は「NPO法人飯豊朝日を愛する会副理事長」、「飯豊朝日山岳遭難対策委員会救助隊隊長」等々、数々の要職を務める方でご多忙の中を講師をお引き受け頂きました。
講演のタイトル『安全で快適な感動ある山行』の趣旨について、シニア登山は家を出かけて無事に帰ることこそ大切、次に登山活動が快適でしかも感動のあるものでなければと強調され、これを実現する方法を、水分の補給、食事の取り方、有酸素運動と脈拍の関係、高齢による運動能力の低下、トラブルでのセルフレスキュウの具体的方法などについて実技をまじえて講演していただきました。
『参加者を前に講演する井上氏』
具体的な数値として
体重60Kgの登山者が8時間行動した場合
1.2 リットル以上の水分補給が必要
炭水化物(脳のエネルギー)の補給、自分の場合1時間当たり、コンビニ"おにぎり一個"の割合を目安としている
『筋肉の疲労」では
乳酸が増加し始めるポイント(無酸素性作業閾値、AT)から、目標心拍数が
「(220-年齢)x0.75」
が目安とされていて、60歳では120/分となる
『怪我した時の止血方法』
止血には、電気工事に使う「ビニールテープ」が最適、
安価で十分に清潔で、これを取り去るときには、接着部分に水をつけると容易にはがせる
火傷の場合にはサランラップが有効だ
『怪我人の簡易搬送方法』
空にしたザックとカッパやアノラック等で怪我人のお尻を包むようにザックと結びつけ
ロープで足を固定する方法を実演
『背負った負傷者の運び方』
会員をモデルにして、負傷者の背負い方、下ろし方、斜面を下るには、背負った人の両手が使えるようにし、ストックではなくあるていど丈夫な棒を使うのがよい。
『会場は、いっぱいに』
当会の会員以外の方も参加されて会場はいっぱいになった。
[講演終了後に質疑応答]
質問:針金が便利とのことですが、どの程度の太さのものを
回答:折り曲げの繰り返しで切れる程度でよい、特に登山靴の修理用に重宝
質問:心拍数の目安ですが、自分は平生から高いのですが
回答:運動の程度毎の自分の心拍数を常日頃から記憶して目安にするとよいのでは
質問:山形工業高校山岳部の山小屋を管理しているのですが、山岳部員も減少する状況で、今後の運営が心配なのですが、天狗平ロッジの管理の方法でなにか参考になることをお聞かせ下さい。
回答:天狗平ロッジの場合、小屋のオープンとクローズを「イベント」にして広く呼びかけをして楽しく参加してもらうようにしている。
井上氏の主な著書
昭文社、"山と高原地図"「飯豊山」
「山形おぐに渓流地図2005年版」
NHKエンタープライズ「花の百名山・飯豊連峰」
現在・読売新聞山形版 「インク壺」執筆中
インターネット・ホームページ「飯豊朝日連峰の登山情報」
http://www.ic-net.or.jp/home/iide
上記以外の主な役職
小国山岳会副会長
小国の自然を守る会会員
山形県山岳連盟登山部長
日本体育協会公認指導員(山岳)
日本山岳協会自然保護指導員
環境省自然公園指導委員